『とりつくしま』東直子

 

とりつくしま (ちくま文庫)

とりつくしま (ちくま文庫)

 

現世に未練を残したまま死んでしまった人達が、家族や憧れの人達にもう一度会うためにモノに取り憑いて戻ってくる、という10篇の話。ちょっと怖い。

モノなので、相手に気づいてもらうことも言葉を交わすこともできずただただ見つめるのみ。やはりちょっと怖い。

 

「大好きな人に会いたくなる本No.1」「やさしさに包まれながら号泣していました」という帯の文句を目にして購入したんですが、一滴の涙も流れませんでした。

たしかに死を扱った設定なだけに切ない話ではあるのだけど、何故か読んでいて白けてしまう話が多かった。

アマゾンのレビューで「アイデアのみでグッドデザイン賞をもらっちゃう商品のような…」と書いている人がいますが、まさにそんな感じ。

 

という感じで作品全体にはさほど惹かれなかったのですが、

長年想いを寄せていた師匠の扇子になった弟子の話『白檀』と妻の日記帳になった『日記』は文体(というか主人公の語りの口調)がやや堅いためか詩的で気に入りました。

あ、番外編の超短編雨月物語的怪談で面白かったかも。

この三つは再読するかもしれません。

 

 

『パパの電話を待ちながら』ジャンニ・ロダーリ

ボーイフレンドは入浴中に読書するそうです。

ここ二、三ヶ月全く本を読めていなかった(のに買ってしまうのでどんどん溜まる)ので、私も真似することに。

 

一人暮らしを始めてから約二年、シャワーだけで済ませていたのが読書するために湯船に湯を張るようになりました。

体の半分くらいまで、毎日大体五十頁分くらい浸かっています。

 

毎日のルーティーンに読書が組み込まれているというのは、中々文化的でよろしい。

 

パパの電話を待ちながら (講談社文庫)

パパの電話を待ちながら (講談社文庫)

 

最初の入浴用書籍に選んだ本。

 

各話三頁程なのでサクサクと読めました。

セールスマンの父親が行商先から自宅で待つ娘達に毎晩電話で聞かせた小噺で、電話代がかかるからひとつひとつが短い、という設定。成程。

 

かなり期待して読み始めたのですが、読了後の感想は「ふ〜ん…」という感じ。

明確な落としどころもなければ教訓的な教えもない。

突飛な設定が当たり前のように語られる世界観は星新一に似ているけれど、なんていうか、オチのない星新一、みたいな。

いや、似ているとは言っても星新一よりもずっとふわふわと柔らかな印象ですが。

 

子供よりもアラウンドサーティの女性あたりにウケそう。

 

 

 

 

 

『第2図書係補佐』又吉直樹

ピース又吉

芸人なのに、小説家。暗いのに、面白い。美男子にも見えたり、見えなかったり。

まさに 不思議 という形容が相応しい人だと感じます。

 

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫)

 

 

「第2」でしかも「補佐」、控えめなタイトルに惹かれて買いました。

初めに「僕の役割は本の解説や批評ではありません。」「自分の生活の傍らに常に本という存在があることを書こうと思いました。」とあるように、本の紹介というよりもエッセイ的な作品。

 

印象に残っているのは古井由吉の『杳子』。

自身の恋愛(?)についての回で、なんだか意外で、少し嬉しかった。

 

全体的に、ところどころ難解な語彙が散りばめられているにも拘らず読みやすく、さらりとした文章だと感じました。
彼が多くの本を読んできた賜物でしょう。

 


そういえば先日、「これは…!」と思うような文章を書く方に出会いました。
いや、出会ったというか 一方的にTwitterを覗いただけなんだけど。
私のボーイフレンドのご友人で、かなり文学に傾倒していて、批評が趣味とか。

 

その彼が「#ふぁぼされた数だけ自分が好きすぎる映画のタイトル言う」というハッシュタグでいくつか映画の批評・紹介をしていたのですが、これが素晴らしかった。
個人のツイートを勝手に引用するのはどうかと思うので紹介は控えるけれど、どれも惹き付けられるものでした。

 

あまりに良い文章に触れると、時に羨ましいを通り越して妬ましいとさえ感じる時があります。
文章力が向上すれば、と期待しつつ こうしてブログを書いているけれど、果たして考えていることを適当に綴っているだけで人を惹きつける文章が書けるようになるのかというと、たいして変化はないでしょう。

 

文章の上手い下手は 文章を読んだ量とか書いた量の差ではないような気がするのです。
もっとこう、どこかに決定的な差があるというか。
何の差なのかはわからないけど。

 


『恋しくて』村上春樹

村上春樹の書く文章が好きです。瑞々しくて。
彼の文体を毛嫌いしたりネットのオモチャにする人は多いけれど、繊細な言葉選びと比喩表現にかけては彼の右に出る作家はなかなかいないんじゃないかと思う。

 

初めて村上春樹を読んだのは小6か中1くらいの頃で、自宅にあった『ノルウェイの森』でした。

何気なしに手に取ってみたものの、何が面白いのかわからず上巻の途中で頓挫。
次に触れたのは大学一年の春で、これまた何気なしに村上春樹を扱う講義を履修したところ この講義が殊の外面白く、それからしばらくは村上春樹ばかり読みました。
勿論『ノルウェイの森』も。

 

でも正直なところ、未だに彼自身の書く小説の面白さはいまいちわからないんです。
私の頭が悪いために理解出来ていないだけかも知れないけど。
彼の作品に共通する陰湿でヘヴィーな世界観と単調なストーリーが少し苦手なのかもしれない。

なので とりわけ好んで読むのは彼が翻訳した洋書で、翻訳は元の作家の世界観ありきなところがありがたい。
翻訳こそが彼の文章力とワードセンスを存分に発揮できる分野であるような気もします。

 

新年一冊目の本。

丁度元旦から読み始めました。

恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES (中公文庫)
 

 村上春樹が選んだ海外作品と自身の書き下ろしを収録した10扁のアンソロジー。

 

特に気に入ったのは一作目の「愛し合う二人に代わって」。

原題はごくあっさりと「The Proxy Marrige (代理人結婚)」らしい。

それを「愛し合う二人に代わって」って。いいね。

内気で、インテリジェントで、あまりパッとしない容姿の主人公と、美人で、生意気で、自分の手をフラっとすり抜けていくような掴みどころのないヒロイン。

たまらない。昔から、振り回す女、振り回される男、という構図の物語が好きです。愛しくてたまらなくなる。

 

村上春樹の柔らかな文体で訳されたラブストーリーはどれも読んでいて心地良い。

彼と作風の似ている作家が集まっているのか 全体的にどことなく仄暗い印象も受けるけれど、どっぷりとつからずに適度な距離感を保ったまま読み終えることができるのは短編集の良いところだと思います。

ひとつだけいちゃもんをつけるなら、各短編の終わりに【甘味★★★★ 苦味★ 】といった具合に付けられている恋愛甘苦度なるバロメーター表記が若干ダサイ。

 

10組のカップルがいれば10通りの物語がある。

世界中どこを探してもひとつとして同じラブストーリーは存在しないんです。

恋愛って面白いですね。

恋人に贈って どの話が好きか尋ねたい一冊。

 

 

 

密やかにブログを始めました。

表題通り。

キッカケは……
と言えるほどの動機はなく、単純に知人の真似事です。
 
 
年齢特有の気色悪い考えや的外れの持論なんかを無駄に難解な文章に起こしたりして、後々「何やってんだい大学時代の自分は…」と小っ恥ずかしい思いをするのも案外悪くないな、なんて。
そんな まさに青臭い考えでこんなものを開設してしまいました。
 
一応、読んだ本について感じたことを主軸に書こうと考えてはいるのですが、書評というよりは感想文です。
個人の備忘録、自分語り程度のものとして受け取ってください。
 
と言っても 日々熱心に読書しているわけでもないので 多く見積もっても月に数回程度の更新になるかと思いますが。
(なんならこの投稿が最終記事となる可能性も十二分にある。) 
 
あまり気張らず 地味な感じで続けていきたいですね。
 
 
終。