『とりつくしま』東直子

 

とりつくしま (ちくま文庫)

とりつくしま (ちくま文庫)

 

現世に未練を残したまま死んでしまった人達が、家族や憧れの人達にもう一度会うためにモノに取り憑いて戻ってくる、という10篇の話。ちょっと怖い。

モノなので、相手に気づいてもらうことも言葉を交わすこともできずただただ見つめるのみ。やはりちょっと怖い。

 

「大好きな人に会いたくなる本No.1」「やさしさに包まれながら号泣していました」という帯の文句を目にして購入したんですが、一滴の涙も流れませんでした。

たしかに死を扱った設定なだけに切ない話ではあるのだけど、何故か読んでいて白けてしまう話が多かった。

アマゾンのレビューで「アイデアのみでグッドデザイン賞をもらっちゃう商品のような…」と書いている人がいますが、まさにそんな感じ。

 

という感じで作品全体にはさほど惹かれなかったのですが、

長年想いを寄せていた師匠の扇子になった弟子の話『白檀』と妻の日記帳になった『日記』は文体(というか主人公の語りの口調)がやや堅いためか詩的で気に入りました。

あ、番外編の超短編雨月物語的怪談で面白かったかも。

この三つは再読するかもしれません。